2016年03月25日

【160227】泣いたら、体調がよくなった。

泣いたら、体調がよくなった。
『利休にたずねよ』を購入すること4度目、読み返すこと5度目。
利休といえば、行儀のいい爺様がお茶をズズッとすする。そんなイメージがあるが、さにあらず。
じっさいは大柄の絶倫男で、状況次第では天下をうかがうような豪傑であった。
だが、そんな利休の実相が描かれている読み物はじつに少なく、本書が刊行されて一読したときに、私の利休像は「山本利休」として落ち着いた。
フィクションなのであろうが、物語の終盤、若き利休が女と逃亡するシーンは何度読んでも心が震える(ここで泣いてしまう)。
この狂気の行動こそ、茶の湯者のみならず、あらゆる芸術家の本領といえるだろう。
ただし、その狂気を現実社会のどこに位置づけられるかは、当人の「政治力」次第だ。
その点、利休は大政治家だった。
茶の湯という芸術レイヤーを新たに創出し、秀吉に代表される武家社会の上に置こうとした。彼は「革命家」だったのである。
秀吉はそれを恐怖して切腹させたのではないか。切腹は一介の茶人に与える沙汰ではない。利休は武士とみられていたのである。
利休の叛骨を現代に引き継いでいるものは何だろうか。少なくとも茶道ではなさそうだ。
ちなみに映画版はひどかった。
秀吉がたんなるブラック店長程度の悪役に描かれていたからだ。そのぶん、利休がちんけになってしまった。
原作どおり、天下人は天下人然として描いて欲しかったな。


posted by 雄峰 at 11:36| 落人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。