2015年12月02日

断酒日記 69日目「さよならだけが人生、か」


寝台列車、老朽車両、場末の居酒屋ーー私の愛するものたちがつぎつぎと姿を消してゆく。
最高の至福といえば、寝台列車の個室を真っ暗にして、窓辺に酒と肴を並べ、流れゆく車窓を眺めながら飲むことであった。
原発事故のあと、京都に住んでいて、そこから新潟にちょくちょく通っていた。
その行き来に使っていた急行「きたぐに」の車窓は生涯忘れぬであろう。廃止されてもう3年になる。早いものだ。
私が寝台列車に乗りまくっていた頃は今ほど加熱していなかったから、廃止日にあわせて「おくり鉄」ができた。
あかつき、はやぶさ 富士、彗星、出雲、まりも、利尻。思い出すだけでぞくぞくしてくる。
だが、寝台特急北陸を最後にチケット確保が困難を極め、最近はすっかり足が遠のいた。
来春、北海道新幹線が開業すれば、北海道行きの寝台列車も全廃になる。
飛行機嫌いの私は、これまで一度しか渡道に空路を利用したことがない。これからは、新潟港からフェリーで行くことになろう。
さて、断酒2ヶ月が経過した。持病の脂肪肝はどうなったであろうか。
あのまま飲み続けていたら、酒とも永別を余儀なくされたはずだ。
観酒ーー井伏鱒二の訳で知られる「観酒」にはさまざまな解釈が成り立つが、私は再会を期した惜別説を採りたい。

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみと注がせておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生さ

だが、寺山修司はこれを次のようにもじった。

さよならだけが人生ならば
人生なんていりません

私の「鉄道」は失われてしまったが、坊やを通じて「鉄道」をふたたび獲得しつつある。
同様に酒も、彼を通じてふたたび獲得すればよい。さよならだけが人生でもあるまい。

写真:畑の柚子。もいで絞ってソーダ水に。昨年は、チューハイのグレードアップに使っていたなあ。

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posted by 雄峰 at 11:27| 落人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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