2015年12月02日

断酒日記 61日目「食わせる店から、食わせぬ店へ」


友人の小柳次郎冠者がダイエットを始めた。身長175センチで体重92キロというから、痩せるべきであろう。
彼の酒癖と肥り方は、私のそれと酷似しているから、以前からひとごとではなかった。
次郎冠者は山登りを趣味にしていて、相当な山に登る。私も山は好きだが、東京なら高尾山か京都なら鞍馬山くらいがちょうどいい。
また、次郎冠者はよく走る。ウルトラマラソンも完走している。いま私はジョギングを習慣にしているが、そもそも彼から手ほどきを受けた。
そんな豪傑でありながら、ちっとも痩せない。痩せるどころか、肥える一方である。
弟子たる私は、今年ひと踏ん張りして身長181センチで体重68キロ。学生時代の体型に戻した。
この差は何に拠るものか。
次郎冠者と私にかぎっていえば、どうやら生命に対する執着の差なのではなかろうか。
次郎冠者は生命に対する執着が希薄であり、長生きしたいとあまり思っていないらしい。
彼の長者然とした人格はそのあたりの表れかと思うが、そういう者の宿業か、目先の健康よりも目先の飲み食いを優先してきた。
一方、私は生命に対する執着がとても強い。だから健康に留意し、飲食にも気をつかってきた。その分、ガツガツした卑しさが表出しまっているように思える。
我々に限らず、命への貪欲さのちがいは体型に表れるようである。
通常、生きることに貪欲であるほうが飲み食いしそうなものだが、こんにち真逆の現象が出来している。
飽食の時代といわれて久しいが、こんなところにもパラダイムの転換が見てとれる。
腹を空かせる苦痛ではなく、目の前のご馳走を我慢する苦痛に耐える。そんな時代をすでに迎えていた。
これからの飲食店とは、食わせる店ではなく、「食わせぬ店」になるのかもしれない。

写真:水木しげるのマンガ「今昔物語」を引っ張り出してきて、最近、寝床でこればかり。なんとも愉快です。ー 場所: 高尾駅

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posted by 雄峰 at 11:19| 落人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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