2015年10月19日

断酒日記 38日目「人脈はリスク」


人脈はたいせつだ。私も若い頃は、諸先輩たちに引き上げていただいた。だが、そういう場にはたいてい酒がともなう。
酒席のつきあいのよさでかわいがわれ、それが仕事につながったりする。
若い頃はこういう奇跡がよく起こり、酒席が大事、人脈が重要と短絡化してしまいがちだ。
もっとも、そんな本末顛倒に陥っていたのが、ほかならぬ私自身であった。
人と酒を飲む。このこと自体が目的化して、本来の目的を喪失してしまっていたのである。
犬も歩けば棒に当たるというが、ほっつき歩いていて幸運に出くわすなんてことは滅多にない。
まれにあったとしても、緻密に計算すれば、賭けるに値しないことは明白であろう。
だが、群れて酔っ払いたい者はそういう計算ができない。いや、しようとしない。
だから、「仕事には人脈が大事。人脈開拓のためには酒の席も必要」と屁理屈をこねる。
だが、いくら人脈があろうと、取るに足らない人脈では意味がない。
坂本竜馬にしても、勝海舟という大物が引き上げてくれたから、世に出ることができた。
勝にしても、竜馬に見込みがあったからこそ引き上げたわけであり、たまたま飲み屋で隣の席になったからと抜擢したわけではない。
神楽坂時代、私も酒席で得た人間関係がビジネスに生かされたケースもいくつかあった。
だからといって、飲み歩いての人脈を築けば築くほど、成功に近づけるという図式にならなかった。
そんなことより、自分の本分に精を出したほうが、結果的によっぽどいい人間関係にありつけるのだろう。
とくに、私のようないい歳のおっさんはなおさらだ。
出会いを求めてさまよえば、煙たがられたり、敬遠されたり、果ては、よからぬ輩にたかられたりするのがオチ。
人脈はリスク。広げようとした人間関係は、おのれの可能性の狭まるというかたちで帳尻を合わせられてしまうのである。

写真:本文とは無関係ながら、つげ義春の漫画のひとコマを。何となく関係してそうな気もしてきたなあ。

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posted by 雄峰 at 10:38| 落人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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