2015年09月23日

断酒日記 8日目「蜘蛛の糸に飛びつけ」

断酒2週目を迎えた。よく「禁断症状はないか」と尋ねられるが、ほとんどない。これには私も驚きだった。
だが、これは私の意思が強いからというわけではない。タイミングがよかっただけのことである。
この十余年、少なくとも週に1度、通算500回は節酒を決意してきた。
「人前で飲まない」「焼酎ロックだけにする」「土日だけにする」「店でしか飲まない」「夜10時以降に飲む」など、涙ぐましいルールをつくっては敗退してきた。
1週間前の今日、私は朝から二日酔いに苦しんでいた。
寝床を出られずに、スマホで芸能ニュースなどを淀んだ目で眺めながら、2時間もの間、うだうだと。
「酒 自己嫌悪」「節酒 体験談」で検索しては、節酒のための方策を模索するが、いずれもすでに試みたものばかり。
時折「断酒」という言葉も目に入るが、断酒なんてできるわけがないと一蹴ーー
ところが、つぎの瞬間、私はデスクに座り、友達にメッセージを送っていた。
「来週うちに来るとき、持ってくると言ってたワイン、もう買ってしまった?」
未購入なら、持参は無用と伝えようと思ったのである。
このときすでに、私は断酒を決意していた。
ただし、決断に至る心の動きはよく覚えていない。最後の記憶は「酒などやめられるわけがない」であるからだ。
地獄の底でうごめいているとき、ふと天から蜘蛛の糸が降りてくるのを目撃し、それをすかさず捉えたような気もするが、それは後付けのイメージだ。
だが、人が決意する瞬間とはこんなものらしい。
過去2度、起業したときもこんな感じであった。気づいたら始めていたのである。
成功者は「運がよかった」とよく言う。今回憑き物を落とせた私も運がよかったと思う。
ただし、その幸運は、それまでの油汗を流すような放下が土台になっているようである。
500回もの節酒への挑戦があってこそ、こたびの断酒がスムーズに推移したのであろう。
私にとって忌まわしい体験が、本番を前にしてのよき鍛錬になっていたのである。


posted by 雄峰 at 15:36| 落人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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